ツヤのある葉が美しく、豊富な品種が人気の「フィロデンドロン」。耐陰性があるため観葉植物として人気のフィロデンドロンは室内での管理に適している植物です。
そこで今回は、フィロデンドロンをハイドロカルチャーで育てる方法をご紹介します。
実際に育てて分かった!フィロデンドロン×ハイドロカルチャーの落とし穴
半年ほど経つと弱りやすい
ハイドロカルチャーは清潔で管理しやすい反面、長期的に育て続けるのは少し難しいと感じました。
私の場合も、最初の数か月は元気に育っていたのですが、半年ほど経つと徐々に弱ってしまいました。
理由は、ハイドロカルチャーだと土に比べて根がしっかり張りにくく、株が充実しにくいからです。
水やりのバランスが難しい
ハイドロカルチャー最大の難所は「水やりの加減」でした。
透明容器だと水位が見えるので一見管理しやすそうですが、実際は…
- 与えすぎると根腐れしてしまう
- 放置しすぎると根が乾燥して弱る
私は逆に「放置しすぎ」パターンで根が乾いてしまい、株が弱ってしまった経験があります。
▶ハイドロカルチャーの水の量はどれくらい?頻度と量を時期別で解説
日当たりが強すぎると藻が発生
見落としがちなのが「透明容器の中に藻が発生する問題」です。
私は明るい窓辺に置いていたのですが、日光が強すぎて容器の中に緑色の藻が繁殖してしまいました。
せっかく清潔感のあるハイドロカルチャーなのに、容器が濁ってしまうと見た目が台無しになります…。
対策
- 半日陰に置く
- 光を通しにくい容器を選ぶ
- 定期的にハイドロボールを洗う
▶ハイドロカルチャーの藻対策!容器内が緑色になるのはカビ?アオコ?
フィロデンドロンをハイドロカルチャーで育ててみよう!

それでは、フィロデンドロンをハイドロカルチャーで育てる方法をくわしくみていきましょう。
用意するもの
・フィロデンドロン(小さめの株がおすすめ)
・ハイドロカルチャー用の人工土(ハイドロボールやハイドロコーン)
・透明の容器、空き瓶など
・根腐れ防止剤(あれば)
・ピンセットがあると作業しやすい
①植え替え適期は5月~9月頃
フィロデンドロンをハイドロカルチャーに切り替える場合、生長期である春から秋の暖かい時期におこないます。
冬場は株が植え替えのストレスで弱る可能性が高いため避けましょう。最高気温が15度以上の時期が失敗しにくいです。

②ハイドロボールを水洗いする

まずは、用意したハイドロボールを軽く水洗いして汚れや粉塵をとりましょう。袋詰めにされたあとのハイドロコーンは、搬入されるまでの間に摩擦によって茶色い粉が発生しています。
そのまま使うと容器の中が茶色く濁ってしまうため、より清潔に管理するためにも、ハイドロボールは使用前に水洗いするのがよいでしょう。

ハイドロボールの選び方【目安】
100円ショップやホームセンターで手軽に購入できるハイドロカルチャー専用用土。
「ハイドロボール」や「ハイドロコーン」などと記載されていますが、その植物に合った大きさの粒を選んであげるのがおすすめですよ。
・根が細い植物⇒小粒
・迷ったら⇒中粒
・根が太い植物⇒大粒
100円ショップで販売されているハイドロボールの場合、ばらばらのサイズの粒が一袋に寄り集まっている場合が多いです。
そのような場合は、大粒を底の方に敷き上に向かって粒の小さいものを使うと植物が安定しやすいですよ。
③水でやさしく土を落とす
鉢の側面をこぶしでトントンと叩き、振動で株を取り出します。根と土の塊が「根鉢(ねばち)」です。
使わない箸や細い棒を使い、根鉢を軽くつついて古い土をとります。
細かい土は容器に水を張り、そこに根を入れてやさしくゆすぐようにして土を洗い落とします。
④高さを調整しつつ植え替え
いよいよハイドロカルチャーに植え替えていきましょう。
まず、容器の底に根腐れ防止剤を入れます。その後、水洗いしてハイドロボールを容器の5/1程度入れて高さを調整します。

ピンセットがあると作業しやすいですよ。

できるだけ隙間が出ないように、棒やピンセットで突つきながら作業をします。
⑤水を容器の1/5~1/4程度入れる
最後に水やりです。容器の1/5~1/4程度の水を足します。

ハイドロカルチャーの水やり方法
・水位が底をついて2~3日したら、容器の1/5程度の水を足す
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーの植物が枯れる原因は?育て方のコツ3つ」
⑥半日陰で管理
ハイドロカルチャーに植え付けたフィロデンドロンは、直射日光を避けた半日陰に置いて管理します。葉の乾燥を防ぐためにも、気づいたときに葉水してあげるのもフィロデンドロンに適したお手入れ方法です。

フィロデンドロンをハイドロカルチャーで育てるメリット、デメリットは?
フィロデンドロンをハイドロカルチャーで育てるメリットとデメリットを見ていきましょう。

フィロデンドロンをハイドロカルチャーで育てるメリット
- 土を使わないので虫が湧きにくい
- 室内でも清潔に育てられる
- 見た目がおしゃれでインテイリアによく馴染む
- 水やりの管理が楽(透明容器なので水の減りが一目瞭然である)
フィロデンドロンをハイドロカルチャーで育てるデメリット
- 水耕栽培のため、土に比べるとどうしても生長が遅い
- 大きく、丈夫に育てるなら土の方が適している
- 水をやりすぎると根腐れしやすい
- 半年に1回程、ハイドロボールを洗浄して清潔を保つ必要がある
あわせて読みたい「フィロデンドロン 冬の育て方のポイント3つを解説します!」
よくある質問
Q1. ハイドロカルチャーで挿し木で増やせる?
A. できます。フィロデンドロンは挿し木で増やしやすい品種が多いです。手順は簡単で、ポイントは以下の通りです。
- 健康な茎を節(葉の付け根の出っ張り)が付いたところで切る(10〜15cm程度が扱いやすい)。
- 下葉を取り除き、切り口を乾かす(数時間〜半日)。
- 水挿しか、直接ハイドロボールに挿して発根させる。水挿しなら清潔な容器で水をこまめに替え、1〜6週間で発根することが多いです。
- 発根後は徐々に水位や養液に慣らしてからハイドロボールへ移す。直接ハイドロボール化する場合は、清潔にした球体でしっかり固定すること。
温度は20〜25℃くらい、明るいが直射の当たらない場所に置くと成功率が上がります。
Q2. 使う水は水道水で大丈夫?水質の注意点は?
A. 基本的には水道水で問題ありませんが、塩素が強い地域や水質が硬い場合は注意が必要です。
対処法
- 塩素が気になるなら容器に張る前に一晩おくか(塩素が抜ける)、浄水器・軟水器を使う。
- 硬水(カルシウムやマグネシウムが多い)だと白い沈着(塩類)が出やすいので、雨水や精製水を一部使うと改善します。
- 水が濁ったり匂いがするときは交換して、容器・ハイドロボールを洗浄してください。
▶ハイドロカルチャーにカビ?白い物質の正体とカビの対処法・予防策!
Q3. どんな肥料をどれくらいの頻度で与えればいい?
A. 水耕向けの液体肥料(観葉植物用/水耕用)がおすすめです。
濃度と頻度の目安
- 成長期(春〜秋):メーカー推奨濃度の1/4〜1/2程度に薄めて、2〜4週間に1回与える。
- 冬(低温期):基本的に肥料は控える(生長が止まるため)。
濃度は植物の反応を見て調整してください。葉先が焼ける(白っぽい焦げ)ようなら濃度を下げます。
Q4. ハイドロだとどんな害虫や病気が出やすい?対策は?
A. 土を使わないためコバエや土壌由来の害虫は減りますが、ハダニ・コナカイガラムシ・アブラムシなど葉についてくる害虫や、藻・根の腐敗(真菌性)には注意が必要です。
対策
- 定期的に葉と根元を観察する(早期発見が鍵)。
- 葉は濡れた布でふくか、霧吹きで洗い流す。害虫が見つかったら捕殺・石鹸水で洗う・市販の園芸用石けんやサボテン用の希釈液を使う(使用方法を守る)。
- 藻対策は「遮光(不透明容器)」「置き場所を半日陰にする」「定期洗浄」。
- 根腐れの疑いがある場合は速やかに植え替え・腐った根の除去を。
▶ハイドロカルチャーの虫対策!ハイドロカルチャーに虫が湧く原因とは?
Q5. 根腐れしてしまった場合、復活できますか?具体的な手順は?
A. 軽度なら復活可能です。
手順の例
- 植物を容器から取り出し、根をよく観察。黒くぐにゃっと柔らかい部分は腐っているので清潔なハサミで切り落とす。
- 残った根を流水で洗い、古いハイドロボールや汚れた水は廃棄して容器・資材を消毒する。
- 消毒・乾燥させた清潔なハイドロボールで浅めに植え直し、水位は低めにして通気を良くする。
- しばらくは肥料を控え、明るい半日陰で様子を見る。根が回復するまで過度な給水は避ける。
重度の場合は土に戻して回復を試みることもあります(根を乾かしすぎないよう注意)。
Q6. ハイドロボールや容器の洗浄・消毒方法は?
A. 定期洗浄はトラブル予防に有効です。
基本的な流れ
- 植物を一旦別場所に避難させ、ハイドロボールを取り出して流水でゴミや泥を落とす。ブラシを使うと早い。
- 汚れがひどければ希釈した漂白剤(家庭用次亜塩素酸ナトリウム)目安:漂白剤1に対し水9の濃度で短時間(10〜15分)浸して消毒する方法が一般的。
- 漂白剤を使った場合はその後十分に何度もすすぎ、塩素臭が消えるまで洗うこと。手袋や換気も忘れずに。
- すすいだら乾燥させ、再利用する。漂白剤が気になる場合は3%程度の過酸化水素(市販のオキシドール)での処理も選択肢です。
※薬剤使用時はラベルの指示・安全対策を守ってください。
Q7. 一度ハイドロにした株を土に戻すにはどうしたらいい?
A. 戻せます。衝撃を抑えてゆっくり移行するのがポイント。
- 根の古いハイドロボールを落とし、根を軽く洗う。腐った根はカット。
- 通気と保水のバランスが良い市販の観葉植物用培養土を用意する(バーミキュライトやパーライト混合が扱いやすい)。
- 小さめの鉢に植えて最初は土を湿らせる程度にして、表面が乾いたら浅めに水やり。土に戻した直後は根が弱っていることがあるので、直射日光は避けて管理。
▶ハイドロカルチャーから土に植え替える方法。メリットとデメリットも解説
Q8. 容器のサイズ・形・素材はどう選べば良い?
A. 選び方の目安は以下のとおりです。
- サイズ:植え替える時の根鉢(または切り取った根の長さ)より一回り大きめ。横幅・深さともに根がゆったりできること。小さすぎると根が詰まりやすい。
- 形:背の高い品種は倒れにくい重めで底の広い容器が安心。口が狭いと設置が難しいこともあるので扱いやすさで選ぶ。
- 素材:見た目重視なら透明容器、藻対策重視なら不透明(遮光)容器がおすすめ。透明は水位確認が楽ですが藻が出やすいので置き場所に注意してください。
Q9. 水替えや水の管理の目安(pHや頻度など)は?
A. 管理の簡易目安は以下のとおりです。
- 全量交換:水が濁った時や月に1回程度を目安に全量交換。見た目がきれいなら1〜2か月に1回でも可。
- こまめな補水:水位は様子を見て随時補充(蒸発で減る分を足す)。ただし底まで水を満たして常に根がどっぷり、になるのは避ける。
- pH:理想的には弱酸性〜中性(概ねpH 5.5〜6.5が目安)。専門家向けですが、気になる場合はpH試験紙や計測器で確認すると安心です。
-
塩類対策:白い粉(塩類)が出てきたら水替えとハイドロボールの洗浄を。硬水地域は精製水の併用を検討。
Q10. 葉が黄ばんだり斑点が出たときの原因の見分け方と対処法は?
A. 原因は複数考えられます。まず症状をよく観察して当てはまる項目をチェックしてください。
- 葉全体が黄色くなる:栄養不足・過給水・低温が原因のことが多い。肥料の濃度と水やりを見直す。
- 葉の縁が茶色くパリパリする:乾燥や塩類の蓄積(硬水による)や肥料焼け。水替えと葉水、肥料濃度を下げる。
- 斑点(点状の黒や茶):病気(真菌や細菌)や虫食いの可能性あり。拡がるなら該当葉を切除し、周囲消毒・隔離。
- 新葉が小さい・色が薄い:肥料不足のサイン。薄めの液肥を与えて様子を見る。
対処は「原因に合わせて」:水管理の見直し、薄めの肥料、害虫チェック、必要なら植え替えと根の確認。早めの対応が回復を助けます。
▶ハイドロカルチャーはかわいそう?デメリットの解決策も解説!
まとめ

今回は、フィロデンドロンをハイドロカルチャーで育てる方法をご紹介しました。
フィロデンドロンは生長があまり早くなく、直射日光よりも半日陰を好むため、室内で育てるのには向いている植物といえます。
ハイドロカルチャーにしたフィロデンドロンなら、清潔な上見た目も綺麗。ついついずっと眺めていたくなる可愛さです。
今回の記事をご参考に、ぜひ、フィロデンドロンをハイドロカルチャーで育ててみてはいかがでしょうか。
あわせて読みたい「ダイソーのフィロデンドロンを大きく育てる【経過記録】」はこちら
フィロデンドロンをハイドロカルチャーで育てる方法【手順】 1.適期は5月~9月頃までの暖かい時期 2.ハイドロボールを水洗いする 3.根に付いた土をやさしく落とす 4.高さを調整しつつ植え替え(あれば、根腐れ防止剤を容器の底に敷いておく) 5.水を入れる(容器の1/5程度) 6.風通しのよい半日陰に置いて楽しむ(直射日光や西日は×) ※肥料は水耕栽培専用の液体肥料を使用します。冬は生長が鈍るので肥料は基本不要です。
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