涼し気な見た目と清潔さが人気のハイドロカルチャー。
人工的な土を使用しているため虫が湧きにくく、室内でも清潔に植物を楽しめるハイドカルチャーはインテリアとしても人気です。
一見、メリットしか見当たらないハイドロカルチャーですが、「ハイドロカルチャーで植物を育てるなんてかわいそう」という声を耳にすることも多いです。
そこで今回は「ハイドロカルチャーはかわいそう」と言われる理由とその解決策をお届けするよ。これからハイドロカルチャーで観葉植物を育てたい方は参考にしてみてね。
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ハイドロカルチャーがかわいそうな2つの理由とは?
「見た目もきれいで室内でも清潔に植物を育てられる」
ハイドロカルチャーの一番の魅力と言えば「室内に土を持ち込まずに済む」ということではないでしょうか。
特に虫が苦手な方には嬉しいポイント。でも、植物の立場になって考えた時、ハイドロカルチャーは決して最適な栽培環境とはいえないよ。
ハイドロカルチャーがかわいそうな理由①十分な日光を確保しにくい
ハイドロカルチャーは室内管理が基本!
見た目がおしゃれで清潔なハイドカルチャーですが、穴の開いていない容器に水を溜めて栽培するため、「直射日光を避けた室内の明るい場所」に置くのが基本です。
直射日光を当てると水温が上昇し、根が傷んでしまう恐れがあるからです。
つまり、ハイドロカルチャーで植物を栽培する場合は十分な日光と風通しを確保することができず、一年中室内に置きっぱなしということ。
十分な日光と風を確保しにくいということは、光合成で生成できる養分の量も少ないということです。
もちろん土での栽培に比べるとなかなか株が充実しません。
このような理由からか、「ハイドロカルチャーで観葉植物を育てるなんてかわいそう!」という意見を耳にすることが多いと考えられます。
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーの植物が枯れる原因は?育て方のコツ3つ」
解決策
斑入りタイプは強光を苦手とするためハイドロカルチャーとの相性◎
「直射日光を避ける」「温度の安定した室内に置く」「水を溜めて管理」
上記のようなハイドロカルチャーでの管理条件に合う植物の特徴としては、「半日陰を好む(耐陰性が強い)」「比較的水を好む性質を持つ」などがあげられます。
そして、これらの条件に合う植物が「ハイドロカルチャーとの相性がよい」といえるでしょう。
観葉植物の多くは耐陰性があるため室内での管理が可能。その中でも特に耐陰性が強いのがポトス、スパティフィラムなどのサトイモ科の観葉植物だよ。
そして、これらサトイモ科の観葉植物は比較的水を好む性質を持ちます。
特に、白い模様の入った斑入り種は直射日光により葉焼けを起こしやすいです。
つまり「サトイモ科×斑入り種の観葉植物はハイドロカルチャーで失敗しにくい」といえる。
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーに向いている植物5選【初心者におすすめ】」
ハイドロカルチャーと相性のよい観葉植物
▲カラーサンドはハイドロカルチャーの中でも管理が難しい…(水位が見えないため)
- ポトス(斑入り種が特におすすめ)
- マドカズラ
- スパティフィラム
- アンスリウム
- シンゴニウム
- フィロデンドロン、etc…
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーにおすすめの観葉植物、3つ条件とは?」
ハイドロカルチャーがかわいそうな理由②半年~1年に1回、内部の洗浄・交換が必要
容器に穴が空いていないためどうしても内部に汚れが蓄積する
ハイドロカルチャーで観葉植物を育てる場合、基本は底に穴の開いていない容器を使います。
通常の鉢であれば汚れが底穴から水と共に流れ出てくれるね。でも鉢穴がないと容器内に汚れが蓄積し続けるよ。
さらに通常の鉢底穴のある鉢に比べて通気性も劣ります。
つまり、ハイドロカルチャーは根腐れを起こすリスクが高い栽培方法ともいえます。
根腐れを防ぐために必要となるのが、約半年~1年に1回の植え替え(内部の洗浄・交換)!
しかし、鉢から株を取り出すことは植物にとって大きなストレスになることは間違いありません。
ハイドロカルチャーで育てていると、植物にストレスを与える機会が多くなります。
なかなか大きく生長できない上にストレスを与えがちな栽培環境…。植物の立場になると確かにかわいそう…。
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーのシンゴニウムを植え替える方法とは?」
解決策
ハイドロカルチャーの容器底に「根腐れ防止剤」を敷くことで、植え替えの頻度を最小限に抑えることができます。
容器内の不純物を吸着し水を清潔に保つことで、根腐れを防いでくれるのが「ミリオンA」「ゼオライト」などの資材だよ。
すでにハイドロカルチャーを育てている方は、容器の底に根腐れ防止剤が入っているかを確認してみましょう。
容器底に見える灰色~水色の資材が根腐れ防止剤
もし、「容器の底に根腐れ防止剤らしきものが入っていない」という場合、ハイドロカルチャー用土のみで植えられている可能性があります。
その場合は「イオン交換樹脂栄養剤」を使うのが手軽でおすすめ!
イオン交換樹脂栄養剤は、栄養剤と根腐れ防止剤の2役を担ってくれるとても便利な資材で、上から撒いて水で落とし込むだけで効果を発揮してくれます。
効果は約3か月。直径4.5cmほどの容器に約1/3袋を撒いて水で落とし込みます。
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーが難しいといわれる3つの理由とは?」
根腐れ防止剤なしで実験してみました
「根腐れ防止剤は本当に効果があるのか?」を個人的に実験してみたのでご紹介しましょう。
下写真はハイドロコーンのみで植えたフィロデンドロンです。
ハイドロコーンのみで植えたフィロデンドロン
見た目もきれいで土を使っていないため、食卓テーブルにも躊躇なく置けるのがハイドロカルチャーの嬉しいポイントですね。
そんなフィロデンドロンをハイドロカルチャーにして約半年。徐々に根腐れの症状が出始めました。
古い葉だけではなく新しい葉もなんとなく色が悪い…
容器から取り出してみると…。
黒っぽく傷んでしまった根が目立ちます。これは根腐れの症状といえるでしょう。
そして、同じ時期にハイドロカルチャーに植え替えた植物はというと…。
根腐れの症状はみられません
こんな感じ。絶好調というわけでもありませんが、少なくとも根腐れの症状はみられません。
この実験から、やはりハイドロカルチャーを長持ちさせるためには根腐れ防止剤が欠かせないのでは?と感じた。
とはいえ、根腐れ防止剤自体にも汚れが蓄積していきます。交換の目安は約一年。
根腐れ防止剤未使用なら約半年に1回の内部の洗浄・交換を検討。根腐れ防止剤使用のなら約1年スパンで内部の洗浄・交換を検討してみて。
あわせて読みたい「100均のハイドロカルチャーってどうなの?使い方のコツも」
土も水も使わず室内でも清潔に観葉植物を楽しむ方法
そうはいっても植物に負担を与えるのはにかわいそう…室内で清潔に観葉植物を楽しむ方法は他にないのかな?
そんな方におすすめなのが「人工観葉」という選択肢です。
人工観葉なら水も土も不要。害虫が湧くこともないから虫が苦手な人でも安心してグリーンを楽しめるよ。
人工観葉(フェイクグリーン)のメリット
- 水も土も使わないから虫が湧く心配が要らない
- 窓の無い玄関やトイレ、北向きの室内でも枯れない
- 樹形が崩れたり葉が落ちたりすることがない
- 面倒な植え替えや水遣り、難しい剪定の必要がない
本物みたいにリアルなフェイクグリーンが欲しいなら造花専門店で探すのがおすすめ。手作りで仕上げられていることが多いからどれも本物みたいに自然でリアルだよ。
あわせて読みたい「本物そっくり!フェイクグリーンのおすすめメーカー【厳選3店】」
人工観葉(フェイクグリーン)のデメリット
- 低品質なものだと安っぽさを与えてしまう
- 生長の過程が楽しめない
- 水遣りや植え替え、剪定などの世話が好きな人にとっては物足りない
目線から近い位置に飾るならできるだけリアルなものを選ぶ。これが安っぽく見せないポイントだよ。
あわせて読みたい 「造花の観葉植物に効果はある?造花植物を置くメリット、デメリット」
まとめ
デメリットを理解した上で日々の管理を楽しもう!
今回は、ハイドロカルチャーはかわいそうと言われがちな理由と、その解決策を合わせてご紹介しました。
ハイドロカルチャーで観葉植物を育てるのはかわいそうですが、工夫次第で長く楽しむこともできます。
また、ハイドロカルチャーに向いている植物をチョイスすることが失敗を防ぐコツでしょう。
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーで植物を育てるデメリットとは?対処法も」
真夏に弱ったシンゴニウムがハイドロカルチャーにして元気を取り戻したことも…
ここで一例。下写真は、筆者がベランダに置いていたシンゴニウムです。半日陰に置いていましたが、暑さと水切れ、葉焼けにより傷んでしまいました。(下写真)
▲葉焼けで茶色く傷んだシンゴニウム…
「これはいかん」と思い、ハイドロカルチャーに植え替え室内管理に変更してみたところ、環境が合っていたらしく元気な姿を取り戻しました。
▲ハイドロカルチャーに植え替えて約3か月後
こんな感じで、株の状態や環境、時期などによっては、ハイドロカルチャーが適しているというケースもあります。
あくまで一例ではありますが、「ハイドロカルチャー=かわいそう」とも言い切れないのでは?と感じた事例でした。ご参考までに。
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーと土、どっちか迷ったときの判断基準とは?」
ハイドロカルチャーがかわいそうな理由とその解決策
- 十分な日光を確保しにくい⇒そもそも沢山の日光を必要とする植物をハイドロカルチャーにするのは避ける。半日陰を好む植物をチョイスすることで失敗を防ぐ
- 半年から1年に1回の洗浄・交換が必要⇒根腐れ防止剤やイオン交換樹脂栄養剤などを活用し、できるだけ洗浄の回数を減らすことで株への負担を最小限に抑える