涼し気な見た目と清潔さが人気のハイドロカルチャー。
人工的な土を使用しているため虫が湧きにくく、室内でも衛生的に観葉植物を育てられるハイドカルチャーは、見た目もおしゃれでインテリアとしても高い人気を誇ります。
一見、メリットしか見当たらないハイドロカルチャーですが、「ハイドロカルチャーで植物を育てるなんてかわいそう!」という声を耳にすることが多いのも事実です。
そこで今回は、「ハイドロカルチャーはかわいそう」と言われる理由を深堀してみます。
ハイドロカルチャーがかわいそうな2つの理由とは?
「見た目もきれいで室内でも清潔に植物を育てられる」
ハイドロカルチャーの一番の魅力と言えば「室内に土を持ち込まずに済む」ということではないでしょうか。
特に、虫が苦手な方には嬉しいポイントです。しかし、植物の立場になって考えた時、ハイドロカルチャーは決して最適な生育環境とはいえません。
ハイドロカルチャーがかわいそうな理由①十分な日光を確保しにくい
▲ハイドロカルチャーは室内管理が基本!
見た目がおしゃれで清潔なハイドカルチャーですが、穴の開いていない容器に水を溜めて栽培するため、「直射日光を避けた室内の明るい場所」に置くのが基本です。
直射日光を当てると水温が上昇し、根が傷んでしまう恐れがあるからです。
つまり、ハイドロカルチャーで植物を栽培する場合、十分な日光と風通しを確保することができず、一年中、室内に置きっぱなしということになります。
十分な日光と風を確保しにくいということは、光合成で生成できる養分の量も少ないということです。つまり、土での栽培に比べるとなかなか株が充実しません。
このような理由からか、「ハイドロカルチャーで観葉植物を育てるなんてかわいそう!」という意見を耳にすることが多いと考えられます。
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーの植物が枯れる原因は?育て方のコツ3つ」はこちら
解決策
▲斑入りタイプは強光を苦手とするためハイドロカルチャーとの相性◎
「直射日光を避ける」「温度の安定した室内に置く」「水を溜めて管理」
上記のようなハイドロカルチャーでの管理条件に合う植物の特徴としては、「半日陰を好む(耐陰性が強い)」「比較的水を好む性質を持つ」などがあげられますね。
そして、これらの条件に合う植物が「ハイドロカルチャーとの相性がよい」といえるでしょう。
観葉植物の多くは耐陰性があるため室内での管理が可能です。しかし、その中でも特に耐陰性が強いのがポトス、スパティフィラムなどのサトイモ科の観葉植物です。
そして、これらサトイモ科の観葉植物は比較的水を好む性質を持ちます。特に、白い模様の入った斑入り種は直射日光により葉焼けを起こしやすいです。
つまり、「サトイモ科×斑入り種の観葉植物はハイドロカルチャーで失敗しにくい」といえるでしょう。
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーが難しいといわれる3つの理由とは?」はこちら
ハイドロカルチャーと相性のよい観葉植物
▲カラーサンドはハイドロカルチャーの中でも管理が難しい…(水位が見えないため)
- ポトス(斑入り種が特におすすめ)
- マドカズラ
- スパティフィラム
- アンスリウム
- シンゴニウム
- フィロデンドロン、etc…
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーにおすすめの観葉植物、3つ条件とは?」はこちら
ハイドロカルチャーがかわいそうな理由②半年~1年に1回、内部の洗浄・交換が必要
▲容器に穴が空いていないためどうしても内部に汚れが蓄積する
ハイドロカルチャーで観葉植物を育てる場合、基本は底に穴の開いていない容器を使います。
通常の鉢であれば、汚れが鉢穴から水と共に流れ出てくれますが、鉢穴がないと容器内に汚れが蓄積し続けます。
さらに通常の鉢底穴のある鉢に比べて通気性も劣ります。つまり、ハイドロカルチャーは根腐れを起こすリスクが高い栽培方法ともいえます。
根腐れを防ぐために必要となるのが、約半年~1年に1回の植え替え(内部の洗浄・交換)です。
しかし、鉢から株を取り出すことは植物にとって大きなストレスになることは間違いありません。ハイドロカルチャーで育てていると、植物にストレスを与える機会が多くなります。
なかなか大きく生長できない上にストレスを与えがちな栽培環境…。植物の立場になると、確かにかわいそうです。
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーのシンゴニウムを植え替える方法とは?」はこちら
解決策
ハイドロカルチャーの容器底に「根腐れ防止剤」を敷くことで、植え替えの頻度を最小限に抑えることができます。
容器内の不純物を吸着し水を清潔に保つことで、根腐れを防いでくれるのが「ミリオンA」「ゼオライト」などの資材です。
すでにハイドロカルチャーを育てている方は、容器の底に根腐れ防止剤が入っているかを確認してみましょう。
▲容器底に見える灰色~水色の資材が根腐れ防止剤です
もし、「容器の底に根腐れ防止剤らしきものが入っていない」という場合、ハイドロカルチャー用土のみで植えられている可能性があります。
その場合は「イオン交換樹脂栄養剤」を使うのが手軽でおすすめです。
イオン交換樹脂栄養剤は、栄養剤と根腐れ防止剤の2役を担ってくれるとても便利な資材で、上から撒いて水で落とし込むだけで効果を発揮してくれます。
効果は約3か月。直径4.5cmほどの容器に約1/3袋を撒いて水で落とし込みます。
根腐れ防止剤なしで実験してみました
「根腐れ防止剤は本当に効果があるのか?」を個人的に実験してみたのでご紹介しましょう。
下写真はハイドロコーンのみで植えたフィロデンドロンです。
▲ハイドロコーンのみで植えたフィロデンドロン
見た目もきれいで土を使っていないため、食卓テーブルにも躊躇なく置けるのがハイドロカルチャーの嬉しいポイントですね。
そんなフィロデンドロンをハイドロカルチャーにして約半年。徐々に根腐れの症状が出始めました。
▲古い葉だけではなく新しい葉もなんとなく色が悪い…
容器から取り出してみると…。
黒っぽく傷んでしまった根が目立ちます。これは根腐れの症状といえるでしょう。
そして、同じ時期にハイドロカルチャーに植え替えた植物はというと…。
▲根腐れの症状はみられません
こんな感じ。絶好調というわけでもありませんが、少なくとも根腐れの症状はみられません。
この実験から、やはりハイドロカルチャーを長持ちさせるためには根腐れ防止剤が欠かせないのでは?と感じました。
とはいえ、根腐れ防止剤自体にも汚れが蓄積していきます。交換の目安は約一年。
根腐れ防止剤を使用していないハイドロカルチャーの場合、半年経過したくらいに内部の洗浄・交換を検討、根腐れ防止剤を使用の場合は1年程度で内部の洗浄・交換を検討すべきでしょう。
あわせて読みたい「100均のハイドロカルチャーってどうなの?使い方のコツも」はこちら
まとめ
▲デメリットを理解した上で日々の管理を楽しもう!
今回は、ハイドロカルチャーはかわいそうと言われがちな理由と、その解決策を合わせてご紹介しました。
ハイドロカルチャーで観葉植物を育てるのはかわいそうですが、工夫次第で長く楽しむこともできます。
また、ハイドロカルチャーに向いている植物をチョイスすることが失敗を防ぐコツでしょう。
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーで植物を育てるデメリットとは?対処法も」はこちら
真夏に弱ったシンゴニウムがハイドロカルチャーにして元気を取り戻したことも…
ここで一例。下写真は、筆者がベランダに置いていたシンゴニウムです。半日陰に置いていましたが、暑さと水切れ、葉焼けにより傷んでしまいました。(下写真)
▲葉焼けで茶色く傷んだシンゴニウム…
「これはいかん」と思い、ハイドロカルチャーに植え替え室内管理に変更してみたところ、環境が合っていたらしく元気な姿を取り戻しました。
▲ハイドロカルチャーに植え替えて約3か月後
こんな感じで、株の状態や環境、時期などによっては、ハイドロカルチャーが適しているというケースもあります。
あくまで一例ではありますが、「ハイドロカルチャー=かわいそう」とも言い切れないのでは?と感じた事例でした。ご参考までに。
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーと土、どっちか迷ったときの判断基準とは?」はこちら
ハイドロカルチャーがかわいそうな理由とその解決策
- 十分な日光を確保しにくい⇒そもそも沢山の日光を必要とする植物をハイドロカルチャーにするのは避ける。半日陰を好む植物をチョイスすることで失敗を防ぐ
- 半年から1年に1回の洗浄・交換が必要⇒根腐れ防止剤やイオン交換樹脂栄養剤などを活用し、できるだけ洗浄の回数を減らすことで株への負担を最小限に抑える
ハイドロカルチャーのその他topics
「ハイドロボールを再利用する方法を画像付きで解説します!」はこちら
「ハイドロカルチャーに向いている植物5選【初心者におすすめ】」はこちら
「ハイドロカルチャーの元気がない理由とは?育て方のコツも」はこちら
「冬のハイドロカルチャー 寒い時期に抑えておくべきポイント3つ」はこちら
「ハイドロボールの表面が白くなるのはなぜ?原因と対処法!」はこちら