「スパティフィラムを育てているけど株は大きくなるものの、なかなか花が咲かない…」
「購入時は花を咲かせていたのにいつの間にか咲かなくなってしまった…」
「暖かくなったのにスパティフィラムの花が咲かない…なんで?」
緑色の葉から伸びた真っ白な花が美しい観葉植物・スパティフィラム。
その美しい花に惹かれて育て始めた方も多いのではないでしょうか。しかし、いつの間にか花が咲かなくなってしまいお悩みの方も多いでしょう。
そこで今回は、スパティフィラムの花が咲かない原因と対処法をご紹介します。なんとしてもスパティフィラムの花を咲かせましょう!
スパティフィラムの花が咲かない決定的な原因とは?
スパティフィラムの花が咲かない決定的な原因は、「株が充実していない」ということです。
「そんなことない、株は購入した時よりも大きくなっている!」という方も多いかもしれませんが、「あくまで1株を充実させる必要がある」ということです。
一体、どういうことなのでしょうか?くわしく見ていきましょう。
スパティフィラムは生長とともに親株のまわりに子株を増やす性質がある
スパティフィラムは生長とともに、親株のまわりにどんどん子株を増やしていきます。
そのため、購入から2年ほど経つと、いつのまにか鉢の中が小さな株の集合体になり、ぎゅうぎゅう詰めになっていることが多いのです。
▲購入から約2年経過し花が咲かなくなった株
葉ばかりが茂って花芽がなかなか出てこないという場合、葉の大きさ自体が小さくなっていませんか?または、草丈が低いままではないでしょうか?
鉢の中が子株でいっぱいなら株分けして育て直してみる

そうはいっても、鉢底から根がはみ出ている様子もない。それなのに株分けや植え替えをしなければならないの?
スパティフィラムは根元から花芽が出てきます。そして、新しい葉もまた根元から出てくるのです。(下写真)
▲株元から見える白っぽい花芽
一見、大きな株に見えるスパティフィラムに花が咲かないという場合、よく見ると小さな株の集合体となっていることが多いです。
▲大きな株の内部を見ると子株がびっしり!
根元がぎゅうぎゅう詰めになっていれば、なかなか新しい葉も花芽も展開しにくくなります。(上写真)
そこで必要となるのが株分けです。下写真は株分け後のスパティフィラムですが、約2年で元株のまわりにびっしりと子株がくっついていました。
▲大きな株に見えたが実は小さな株の集合体だった
これでは花芽どころか新しい葉もなかなかスムーズに出てこず、葉が変形したり小さくなったり…という症状が出るのも無理はありませんね。
子株でぎゅうぎゅうになった株は、株分けした上で「1株を充実させる」必要がある
▲株分け後のスパティフィラム
株分け後、株元の詰まりが解消できたら1株を充実させましょう。水はけの良い土に植え付け、できるだけ風通しのよい明るい場所で育てます。
スパティフィラムの開花時期は気温が20度以上となる5月~10月頃です。理想は1~2年に一度の株分けです。
株元の詰まりを解消し、新しい葉や花芽が出やすくなるようにする必要があります。その上で、それぞれの株を充実させましょう。
【ケース別】スパティフィラムの花が咲かない時の対処法
- 株が大きいのに花が咲かない、植え替えや購入から2年以上経っている⇒5月~6月頃の株分けで根元の詰まりを解消させる
- 株が小さくて花が咲かない⇒管理環境を見直し株を充実させる必要がある
花が咲かないスパティフィラムの株を充実させる方法は?
株元の詰まりを解消できたら、管理環境を見直して株をどんどん充実させましょう。また、小さな株も同じく株を充実させる必要があります。
管理環境を見直し、1株が充実すれば徐々に株元から花芽が出てくるはずです。
花が咲かないスパティフィラムの株を充実させる①寒さに当てない
スパティフィラムは寒さに強くありません。そのため、温度が10度以下だと花を咲かせる以前に生育自体が難しくなります。
スパティフィラムの耐寒温度は10度以上ですが、できれば15度以上は欲しいです。温度と日照の環境さえ揃えば、冬でも花を咲かせられるのがスパティフィラムです。
15度以下になったら水やりを控えめにして根腐れを防ぐ!
ただし、気温が15度以下になる秋から冬にかけては、根が水分を吸う力自体が弱まるため、水やりを少しずつ控え目にシフトします。
15度以下になったら表面の土が乾いて1~2日ほどしてから水を与えましょう。葉が垂れて土が乾いていたら水切れのサインです。
また、スパティフィラムは高湿状態を好むとても珍しい観葉植物です。
土が乾ききる前に鉢底から流れ出る程の水量を与えます。気温が15度以上になる生育期であれば、1~2日に一回は水やりしましょう。
花が咲かないスパティフィラムの株を充実させる②半日陰に置く
光線不足もスパティフィラムの花が咲かない原因のひとつです。花を咲かせるには株を充実させる必要があるため、日光不足では難しいのですね。
ただ、日光が不足しているからといってすぐに枯れるということではありません。
あくまで、スパティフィラムの花を咲かせたいのであれば十分な風通しと日光が必要です。
直射日光は葉焼けの原因になるため避けよう
ただし、スパティフィラムは葉焼けしやすいため直射日光は避けます。スパティフィラムに適しているのは、半日陰やレースカーテン越しの柔らかい光です。
移動が難しい場合は遮光ネットを利用します。
遮光ネットはホームセンターはもちろん、100円ショップにも売っているので探してみてくださいね。
▲daisoの遮光ネット【200円】
注意したいのは、「直射日光」と「西日」です。葉焼けを起こすのでこれらは避けます。
▲葉焼けしたポトス
スパティフィラムの好む「半日陰」や「明るい日陰」ってなに?
「明るい日陰」「半日陰」。具体的には、
- 日光の当たっている場所のすぐ隣の陰
- 木漏れ日のような日光が当たってたり当たってなかったりする場所(ルクス値は、約10000~15000)
などを、「半日陰」や「明るい日陰」といいいます。
花が咲かないスパティフィラムを充実させる③適切な水やり
スパティフィラムは観葉植物の中では水を好むめずらしい植物です。特に、春から秋にかけての生育期は水を多く欲します。
そのため、水切れはスパティフィラムの生育を緩慢にし、なかなか花が咲かない原因になりえます。
土の表面が乾いてきたら水をたっぷりと与えましょう。
スパティフィラムは水を好む観葉植物

また、スパティフィラムは高温多湿を好むため葉水もこまめにするのがよいです。
葉が乾燥すると、ハダニという害虫も付きやすくなります。害虫予防のためにも葉水は効果的です。
▲葉の裏や茎など全体に吹きかけるのが葉水のコツ
また、スパティフィラムは水分が不足すると分かりやすく葉が垂れ下がります。特に小さな株は顕著です。
スパティフィラムの葉先が茶色や黄色に変色していたら、水不足の症状の可能性があります。
ただし、鉢内部の高湿状態が続きすぎると根腐れを引き起こすため、受け皿に溜まった水はこまめに捨てましょう。
鉢内の水の流れをスムーズにすることが、スパティフィラムの生育をよくし、また、開花にもつながります。
花が咲かないスパティフィラムの株を充実させる④適切な施肥
2年以上植え替え・株分けしていなかったり、根詰まりによりスムーズに根が養分を吸い上げられていない場合、養分不足に陥っている可能性もあります。
その場合、やはり花芽が付きにくくなります。養分が足りていないとスパティフィラムの花はなかなかが咲きません。
また、葉の色が薄い場合も、肥料がうまく吸い上げられていないか、単純な肥料不足が疑われます。
ただし、闇雲に肥料を与えるのは要注意。株が詰まっていたり、鉢内が根でいっぱいになっていると、肥料が根を傷める根腐れを引き起こすこともあるからです。
肥料を与える前には必ず、「根詰まりしていないか」「鉢内が子株の集合体になってぎゅうぎゅう詰めになっていないか」を確認してください。
スパティフィラムは生育期に適切に肥料を与えよう
生育期のスパティフィラムは肥料を比較的に欲しがります。気温が暖かくなって生育適温である20度前後になったら、スパティフィラムに肥料を与えるタイミングです。
生育期は、2か月に一回ほど置き肥します。肥料は緩効性の化成肥料や固形肥料がよいでしょう。
株元に直接当たらない場所にポンと置くだけで簡単です。
▲「プロミック」はニオイもほぼ無いのでお勧め
水やりの度に溶け出し効果を発揮してくれますよ。(上写真)
ハイポネックスのような液肥は、水で約500倍に薄めたものを2週間に一回程度、土が乾いたタイミングで水やりとして与えます。
こちらは置き肥に比べて即効性があり、効果が実感しやすいです。個人的にはハイポネックスがおすすめです。
花が咲かないスパティフィラムの株を充実させる⑤根詰まりしたら植え替え
スパティフィラムは非常に生育旺盛な植物です。なかなか花が咲かない場合、鉢底をのぞいてみてください。
もし、鉢底から根っこがはみ出ているなら根詰まりのサインです。
ひと回り大きな鉢に植え替えてあげましょう。植え替えの適期は生育期である5月~9月頃です。
根詰まりしたスパティフィラムは、花が咲かないだけではなく下葉が黄色く変色し株自体が弱ってきます。
鉢底穴が小さい場合は要注意
鉢底の穴が小さい場合、鉢底から根がはみ出ていなくても根詰まりしていることもあります。下写真は、オリヅルランの鉢底です。

一見、根詰まりしているようには見えませんが、葉先が黒く変色して根詰まりの症状が出ていました。他に原因が見当たらなかったため、鉢底から株を取り出して見ると…。

太った根っこがびっしりと詰まっています。これでは水分や養分をうまく吸収できません。
スパティフラムも根詰まりしやすいため、1年以上植え替えていないという場合は、一旦、鉢から株を取り出して確認してみるのもひとつの選択肢です。
「鉢からなかなか抜けない…」という場合は根詰まりしている可能性が高いです。鉢植えの側面をこぶしでトントンと叩くと取り出しやすくなります。
2年に1回は植え替えor株分けで鉢内の詰まりを解消しよう
スパティフィラムはメジャーな観葉植物の中でも生育が特に旺盛です。花を咲かせるためには、2年に一度は株分けして株元の詰まりを解消しましょう。
2年程経つと親株のまわりに子株がびっしりついて、よく見ると小さな株の集合体となり、花芽や新芽が出にくくなっていることが多いです。
スパティフィラムの株分け・植え替え適期は、生育初期である5月~6月頃です。
気温の低い真冬の植え替えは、室内が暖かくても根を傷めやすいため控えた方が無難でしょう。
また、いきなり大きな鉢植えに植え替えると、水やり後、鉢内の多湿が続いて根腐れを招きやすいです。新しい鉢植えにはひと回り大きい物を使用します。
現在の鉢よりも直径プラス3cm程度の物を用意しましょう。
スパティフィラムの花を咲かせるまでの経過レポート
ここからは、筆者が育てているスパティフィラムの経過を随時更新します。よかったらご参考にされてくださいね。
300円で購入したスパティフィラム【2020/6/18】

スリーコインズで見つけた300円のスパティフィラムです。小さめの株なので、ゆっくりと育てていこうと思います。花が咲くのはいつになるでしょうか?
水切れ中のスパティフィラム【2021/2/18】

若干、水切れを起こしています。スパティフィラムは冬場でも三日に一回は水やりした方がよいくらい水が大好きということを忘れていました。
暖かくなってきたら、肥料を与えようと思います。ただ、購入時に比べて葉は増えました。
スパティフィラムに白いものが見える!【2021/4/17】
水切れしないよう、土が乾いてきたら水を与え、さらに2週間に1度のペースでハイポネックス(液肥)を薄めて与えていました。
暖かい日はベランダに出して日光も。そして、葉水も気づいたときにシュッシュと。
すると、4月半ばになって白い物体が現れました。(下写真)

ついに花芽が出てきましたね。
スパティフィラムの経過【2021/5/3】

白い花が見えてきました。そろそろ開花でしょうか?そして、少々葉焼けしています。葉の色が薄くなるのも葉焼けの症状のひとつです。
ほぼベランダで管理しているため、日光が当たりすぎているようです。置き場所を変えます。無事、開花なるか?
スパティフィラムの経過【2021/5/15】

もう少しで咲きそうなスパティフィラムです。つぼみがかなり伸びて今にも開きそう。
白いつぼみが出現してから1か月程経っています。結構時間がかかるんですね。
スパティフィラムの経過【2021/5/28】

もう少しで開きそうなスパティフィラムの花です。この花に続いてどんどん咲いてほしいところですが、まだまだ株が小さいので気長に育てていきます。
花後のスパティフィラム【2021/7/11】
すっかり暑くなりました。スパティフラムの花はすっかり緑色です。結局、白い仏炎苞(ぶつえんほう)は開ききらないまま、花が終わって緑色になりました。

このまま放置すると、栄養が花に取られて株が疲労しまうので、終わった花は根元からカットして取り除きます。
葉が出ている箇所の少し上あたりでカット。

緑色になった花をカットしました。

そして、新しい花もまた一つ出てきているのを発見(下写真)。この調子でどんどん花が増えてくれると嬉しいです。

二度目の植え替えを敢行【2021/9/12】
夏を越してかなり葉が増えました。鉢が重く、水はけが悪くなってきたので、この時期に今年最後の植え替えを検討することに。

葉先が少し茶色くなってきたので鉢底を確認。根がはみ出ていたら根詰まりのサインですが…。

根ははみ出ていません。 とりあえず、鉢からいったん取り出してみることに。

思っていたよりかは根が張っていませんでしたが、少し苦しそう。このタイミングを逃すと冬になってしまうので、ここで今年二度目の植え替えをすることに。ひとまわり大きめの鉢植えに室内用の土を入れます。

スパティフィラムは寒さに弱いため、今はベランダで管理していますが、寒くなってきたら室内へ移動します。

なので、土は虫がわきにくいプロトリーフさんの室内用の土を使用。コバエの原因のひとつである「たい肥」を使用していない土です。虫が苦手な方におすすめ。
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スパティフィラムの植え替え完了です。ただ、株元を見えると親株のまわりにびっしりと子株がついていました。
来年、暖かくなったら株分けして根元の詰まりを解消しなければなりませんね。
まとめ
今回は、スパティフィラムの花が咲かない原因と対処法をご紹介しました。生育旺盛なスパティフィラムは根詰まり・株詰まりしやすいです。
継続して花を咲かせたい場合、1~2年に一度の株分けが理想的でしょう。
今回の記事を参考に、ぜひ、スパティフィラムの管理方法を見直して美しい花を咲かせてみてくださいね。
スパティフィラムの花が咲かない主な原因は「1株の充実度が足りない」
⇒株の詰まりを解消した上で1株を充実させる必要がある
花が咲かないスパティフィラムの株を充実させる方法
- 適切な温度管理(生育適温は25度前後)
- 半日陰やレースカーテン越し程度の柔らかい光を当てる
- 適切に水を与える(生育期は土が乾ききる前に水やり)
- 肥料は生育期に与える
- 2年に一度は植え替えor株分けを検討する
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