室内でも清潔に植物を育てられる人気の栽培方法「ハイドロカルチャー」。
コバエの原因となりやすい土を使わないため、観葉植物をより衛生的に管理できる上に、見た目も涼し気でおしゃれなことから、インテリアとしても人気なのがハイドロカルチャーです。
しかし、残念ながら、ハイドロカルチャーで植物を育てるデメリットも存在します。
今回は、ハイドロカルチャーで植物を育てる上でのデメリットと対処法を徹底解説します。
ハイドロカルチャーで植物を育てるメリットとは?
まずは、ハイドロカルチャーで植物を管理するメリットから見てきましょう。
ハイドロカルチャーのメリット①土を使わないため清潔
まずハイドロカルチャーのメリットとして一番にあげられるのが「土を使わない」ということです。土を使わないということは、虫が湧きにくく室内でも安心して植物を楽しむことが出来ます。
ハイドロカルチャーでは、土を使わない代わりに人口の石を使用します。
商品によっても呼び名は異なりますが、「ハイドロコーン」や「ハイドロボール」「セラミス」「木炭チップ」などがハイドロカルチャー用の用土として販売されています。
さまざまなハイドロカルチャー用土



ハイドロコーンやハイドロボールは、土のようにみえますが人口の石です。
粘土を高温度焼き上げ発砲状のボールにしたものをハイドロボールやハイドロコーンとよびます。
ハイドロボールには無数の気泡が存在するため多孔質です。この穴に空気を含むことができるため、植物が育つための水分と空気を根に送り込めます。
あわせて読みたい「100均のハイドロカルチャーってどうなの?使い方のコツも」はこちら
ハイドロカルチャーのメリット②見た目がおしゃれ
ハイドロカルチャーは透明な容器にハイドロボールを入れて植物を植え付けます。透明な理由は、水位を把握するためです。
しかし、その涼し気な姿がインテイリアによく馴染みおしゃれな雰囲気を醸し出してくれます。
もちろん、水のみの水耕栽培も魅力的ですが、根が伸びきってくるとどうしても中で根がぐるぐるととぐろを巻いて見た目が気になるところです。

ハイドロカルチャーなら、根がほとんど見えないため、いつまでもおしゃれで清潔な印象を与えられます。
ハイドロカルチャーのメリット③水やりの手間が少なく済む
ハイドロカルチャーは専用の石を用土として使用します。
この石の中に水分や空気を含むため、土での管理に比べて水やりを頻繁にする必要がありません。
逆に、水をやり過ぎてしまうと根が呼吸できずに傷んで腐る「根腐れ」を起こす原因にもなります。
育てるための手間が少なく済むというのも、ハイドロカルチャーで植物を育てるメリットといえるでしょう。

ハイドロカルチャーのメリット④用土は繰り返し使えてエコ
ハイドロカルチャーで使用するハイドロボールやハイドロコーンは土ではなく人口的に作った石のため、洗って何度でも使えます。
そのため、ハイドロカルチャーは経済的でエコな栽培方法といえるでしょう。

ハイドロカルチャーで植物を育てるデメリットとは?

「清潔で室内でも育てられるハイドロカルチャー」。一見、デメリットなんて見当たりません。
しかし、ハイドロカルチャーの最大の特徴である「土を使用しない」ということにいくつかのデメリットが隠れています。
ハイドロカルチャーで植物を育てるデメリット①大きく育ちにくい
ハイドロカルチャーは一見、土で育てているように見えますが土を使わない水耕栽培です。
そのため、ハイドロカルチャーは「長い期間をかけて植物を大きく育てたい」「育つ過程を長く楽しみたい」「挿し木や株分けで増やしたい」
等という方にはあまり向きません。
水耕栽培である以上、どうしても土には敵わない面が多いのです。

とはいえ、あまり直射日光を好まない多くの観葉植物にとっては、ハイドロカルチャーが向いている場合もあります。
特に、ポトスやモンステラ、スパティフィラムやシンゴニウムなどのサトイモ科の観葉植物は、直射日光で葉焼けを起こしやすいという特徴があります。
これらのサトイモ科の観葉植物は比較的に水を好む性質も持つため、ハイドロカルチャーと相性が良いでしょう。
あわせて読みたい「挿し木と水差し どっちが大きく育つ?【メリットデメリット】」はこちら
ハイドロカルチャーで植物を育てるデメリット②水やりのタイミングが難しい
ハイドロカルチャーで使用するハイドロボールはスポンジのような構造になっており、素材自体が水分を多く含めるようになっています。
そのため必要以上に水を与えていると根が呼吸できずに傷んで腐る「根腐れ」を引き起こしやすいです。
根腐れに発展すると、高い確率でそのまま腐敗し枯れてしまいます。

ハイドロカルチャーの水やり方法は、時期や植物の種類にもよりますが、「水分が容器の底についてから」が基本です。
この感覚をつかむまでは、「ハイドロカルチャーは水やりのタイミングが分かりにくい…。」と感じることもあるでしょう。
ハイドロカルチャーで植物を育てるデメリット③向かない植物もある
日光を多く必要とする植物にはハイドロカルチャーは向きません。
その理由は、ハイドロカルチャーを直射日光に当てると内部の水が煮えて根が傷み根腐れを起こしてしまうからです。
たとえば、多肉植物やサボテンはハイドロカルチャーで育てるのはなかなか難しいでしょう。もちろん、水やりのタイミングや管理のコツがつかめるようになれば挑戦してみる価値はあります。

ただ、初心者がいきなり多肉植物をハイドロカルチャーで育てるのはかなり難易度が高くなりがちです。
ハイドロカルチャーのデメリットをカバーするためにすべきこととは?
とはいえ、ハイドロカルチャーは「室内で植物を清潔に管理できる」という大きな魅力をもつ栽培方法です。
できるだけデメリットを回避しつつハイドロカルチャーを楽しむコツをいくつかご紹介します。
ハイドロカルチャーのデメリットをカバーする方法①水耕栽培用の肥料を活用
ハイドロカルチャーは土を使用していないため、外から養分を補充してあげる必要があります。ハイドロカルチャーに適しているのは「水に溶けやすい肥料」です。

また、腐敗を防ぐためにも有機肥料ではなく化学肥料が望ましいです。
上写真の「ハイポネックス キュー」は、ハイドロカルチャーの内部の水の量100mlに対して1/2目盛り(5ml)程与えます。
容器のサイドに目盛りがついているため分かりやすいです。
ハイドロカルチャー容器内の水分が50ml程度なら、肥料は1/4目盛り程度ですね。ほんのちょこっと入れる感じです。細いノズルが付いているので、使いやすいですよ。

肥料を与える時期は春から秋の生長期
土で育てている観葉植物と同じく、ハイドロカルチャーでも肥料を与えるのは生長が旺盛な春から秋にかけてが基本です。
目安は2週間に1回~月に1回程度。植物の様子を観察しつつ調整します。
気温が低くなる冬場は「なんとなく元気がないな…」と感じ、ついつい水や肥料を与えてしまいがちですが、これは逆効果。根腐れを招いてしまう場合もあります。
葉の乾燥が気になる場合はこまめに葉水をしたり、加湿器を活用するのがおすすめです。
ハイドロカルチャーのデメリットをカバーする方法②サスティーを活用
慣れるまではなかなか難しいハイドロカルチャーの水やり。ハイドロカルチャーの水やりの基本は以下のようになっています。
ハイドロカルチャーの水やり【目安】 ・春から秋にかけて(最高気温が15度以上) →容器の水が底をついてから容器の1/5~1/4程度の水を足す ・冬(最高気温が15度以下) →容器の水が底をついて2、3日してから容器の1/5~1/4程度の水を足す
「なかなか水やりのタイミングが分からない…」「こまめに容器をチェックするのは面倒」「できるだけ枯らしたくない」
このような場合に便利なのが「サスティー」です。用土に挿しておくだけで水やりのタイミングを色でお知らせしてくれる便利アイテム。

プロと同じタイミングで水やりができ、根腐れのリスクを可能な限りゼロに近づけてくれます。もちろん、ハイドロカルチャーにも使用可能です。
ハイドロカルチャーのデメリットをカバーする方法③向いている植物をチョイス
そもそも、ハイドロカルチャーに向かない植物をチョイスすると失敗する可能性が高くなります。
まずは、ハイドロカルチャーで育てやすい植物を選びましょう。
ハイドロカルチャーで育てやすい植物の特徴3つ
①あまり強い日光を必要としない(直射日光に弱い)
②生長速度が比較的にゆっくり
③比較的に水を好む植物(根腐れしにくい) 、水差しで発根しやすい植物

これら3つの条件を満たす植物の例は、ポトス、アイビー、フィロデンドロン、スパティフィラム、テーブルヤシなどがあります。他にも、条件に合いそうなお気に入りの植物を探してみてください。
あわせて読みたい「ハイドロカルチャーの植物が枯れる原因は?育て方のコツ3つ」はこちら
「フィロデンドロンをハイドロカルチャーで育てる方法」はこちら
まとめ

今回は、ハイドロカルチャーのメリット・デメリットと、デメリットをカバーするための対処法をいくつかご紹介しました。
デメリットはあるものの、室内で清潔に植物を楽しめるハイドロカルチャーは有難い栽培方法ですよね。

特に、虫が苦手な方にとっては安心して観葉植物を楽しむことができるハイドロカルチャーは魅力的なのではないでしょうか。
今回の記事をご参考に、ハイドロカルチャーの植物を少しでも長く育ててあげてくださいね。
ハイドロカルチャーのメリット
・土を使わないため清潔、衛生的な管理ができる
・見た目がおしゃれ、インテリア性にすぐれる
・水やりの手間が少なく管理が楽
・用土は繰り返し使えるためエコである
ハイドロカルチャーのデメリットと対処法 ・大きく育ちにくい →ハイドロカルチャー専用の液肥を活用 ・水やりのタイミングが難しい(慣れるまでは) →「サスティー」を活用 ・ハイドロカルチャーに向かない植物もある →向いている植物をチョイスすることで失敗を防ぐ
人気のその他関連topics
「アロマティカスがゴキブリに強い理由【癒しの多肉質ハーブ】」はこちら
「観葉植物のコバエ対策 効果的な方法とは?【徹底解説】」はこちら