インテリアによく馴染むおしゃれな観葉植物「フィカス・ウンベラータ」。ハート型の大きな葉が縁起が良く、贈り物としても人気の観葉植物です。
そんなウンベラータは、「挿し木(さしき)」で簡単に増やすことができます。
今回は、フィカス・ウンベラータを挿し木で増やす方法をくわしく解説します。
ウンベラータ 挿し木の方法を写真付きで解説します
では、さっそくウンベラータの挿し木のやり方を見ていきましょう。いくつかのコツはありますが、基本、「切って挿すだけ」で簡単に増やせるのが挿し木です。
ウンベラータの挿し木 手順①「適期は5月~6月頃」

ウンベラータの挿し木に適した時期は、生長期初期にあたる5月~6月頃です。暖かさと湿度が一定のこの時期が、一年の中でももっとも失敗しにくいでしょう。
また、この時期に挿し木をすることで、冬までに少しでも多くの根を張らせることができます。冬越しに備えられるということですね。
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ウンベラータの挿し木 手順②「茎をカット」

ウンベラータの茎を約10cmカットします。カットする位置は、葉と葉の間あたりです。
元株は、カットした部分から枝分かれしやすいので、数か月後の株姿を想像しながらカットする位置を決めましょう。
切り口からにじみ出る白い樹液に触らない!
ウンベラータはゴムの木の仲間です。そのため、茎や葉をカットすると、中から白い樹液が滲み出てきます。これは、ゴムの原料となる樹液です。

そして、ウンベラータの樹液は皮膚のかぶれを引き起こす可能性があります。特に、ゴムアレルギーの方は気を付けなければなりません。
作業の際には、手袋を装着しましょう。
ウンベラータの挿し木 手順③「葉数を調整」

カットしたウンベラータの茎は、葉数が多いままだと発根しにくいです。葉が多いことで、水分が葉から蒸散によって出ていきます。
葉がある限り、植物は光合成をします。つまり、葉がある限り、より多くの水分を必要とするのです。
根っこの無い茎(カットした挿し穂)は、水分を十分に吸いあげられません。そのため、葉が多いままでは、発根にまでエネルギーがまわりきらず、発根する前に枯死することも考えられます。
そのため、葉数を減らして発根しやすい状態にしておきます。

葉は1~2枚程残します。今回は、葉を一枚まで減らしました。ちなみに、挿し木に使用するための茎のことを「挿し穂(さしほ)」ともいいます。
葉の面積が大きい場合は半分に葉をカットしても構いません。(葉からも白い樹液が出るので注意!)

また、茎の切り口は斜めにカットしておきます。このようにすることで、少しでも水を吸い上げる面積を確保できます。
剪定ハサミかカッターで切り口をつぶさないようにカットします。
※お手元のケガにご注意ください!
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ウンベラータの挿し木 手順④「水に差す」

挿し穂は乾燥しやすいです。そのため、土に挿す前の数時間程水を十分に吸わせます。これを、「水揚げ」といいます。
このまま水に差して発根するのを待ち、その後、土に植え付けてもよいです。今回は、数時間程水揚げしてから土に挿します。
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ウンベラータの挿し木 手順⑤「土を用意」

ウンベラータの挿し穂を土に挿します。挿し木に適しているのは、「清潔である」「養分が少ない」「水はけがよい」の3つの条件をクリアした土です。
市販の挿し木・種まき用の土や、バーミキュライト、赤玉土(小粒)等が適しています。挿し穂が挿しやすいよう、あらかじめ土に水をたっぷりと与えておきましょう。
発根促進剤で挿し木の失敗を防ぐ!
発根促進剤を使用すると、そのまま挿すよりも発根する可能性を上げてくれます。
発根促進剤にはいろいろな商品が出ていますが、今回はパウダータイプのものをご紹介します。商品名は「ルートン」です。

挿し穂の切り口に「ちょん」とルートンを付けて土に挿すだけ。これだけで、発根の可能性を高められます。
特に、ルートンを使う場合は、あらかじめ土をしっかりと湿らせておきましょう。挿し穂を土に挿してから水やりすると、薬剤が流れてしまうからです。
農薬というとハードルが高い印象かもしれませんが、ルートンは手軽に活用できるので、「できるだけ失敗したくない」「適期とは少しずれているため自信がない」などの場合に、発根促進剤を使用するのも一つの選択肢でしょう。
ウンベラータの挿し木 手順⑥「土に挿す」

濡らした土に割りばしや棒であらかじめ穴を開けておきます。このようにすることで、挿し穂が折れたり曲がるのを防ぎます。

あらかじめ開けておいた穴に、挿し穂をそっと挿しましょう。周りを軽く指で押さえて安定させます。これで、ウンベラータの挿し木作業は完了です。
ウンベラータの挿し木 手順⑦「風通しのよい場所で管理」

挿し木にしたウンベラータは風通しのよい半日陰に置きます。発根が確認できるまでは、土が乾燥し過ぎないように気を付けましょう。
葉や茎に霧吹きで水を与える「葉水」をこまめにしてあげるのもおすすめですよ。元株の方は、今まで通りの管理で構いません。
ただ、葉数が減っているので水を与えてから土が乾燥するまでの期間が長くなるはずです。
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ウンベラータを挿し木で増やす&樹形も整える【経過レポート】
最後に、筆者が育てているウンベラータを挿し木で増やした際の記録です。元株の経過も合わせてご紹介します。
ウンベラータの挿し木を実施【2021/6/17】
ホームセンターで購入した500円のウンベラータ。植え替えから一週間後、剪定ついでに挿し木することに。
カット後の元株

先端10cm程カットしました。切り口から白い樹液が滲み出ているのがわかりますか?この樹液は切り口を塞ぐ効果があるため、ふき取らずにそのまま乾燥させます。
切り口箇所から2つに枝分かれしてボリュームを出したいのですが、果たして、どんなふうに生長するでしょうか。
挿し木にした茎

こちらは風通しのよい半日陰に置き乾燥し過ぎに注意して様子をみます。ちょっと葉が大きすぎるかもしれませんが、しばらくはこれで様子をみましょう。
発根が確認できたら通常の管理に移行します。ただ、ウンベラータは元々強い光があまり得意ではないので、基本は半日陰に置いての管理です。
こまめな葉水も忘れずに見守ります。
発根できたかできていなかのチェック方法
- 挿し穂に触れて抵抗を感じる
- 新しい葉が展開し始める
ウンベラータの挿し木【2021/8/6】
真夏を迎えたウンベラータ。6月に実施した挿し木は無事、生長したでしょうか。
ウンベラーターを挿し木にして約2か月経過【失敗】
うっかり真夏の直射日光に当たり放題になってしまい、挿し木は傷んでだめになってしまいました。
「30度以上の高温」「日当たりが良すぎた」のが失敗の原因でしょう。また来年、再挑戦します。
親株のウンベラータは枝分かれして生長
親株のウンベラータはどんどん枝分かれして生長しています。

こちらもベランダに置きっぱなしですが、この鉢はたまたま少し陰になる場所になっていたため、無事に生長を続けています。
特に、今年は40度近い日が続いているため、去年は大丈夫だった植物が夏を越せずに傷んでダメになってしまいました。
あまりにも暑い日が続く場合は夏も室内へ取り込んだ方がいいですね。
無事、冬越ししたウンベラータ【2022/4/6】
寒い冬を超えて無事、春を迎えたウンベラータです。
室内が乾燥していたため、葉が傷んでしまいましたが、株自体は元気そうです。5月か6月くらいになったら挿し木に挑戦します。
▲傷んだ葉は剪定
今年は直射日光を避け、30度を超えるようになったら挿し木は室内へ移動します。
挿し木に再挑戦【2022/9/2】
うっかり9月になってしまいました。春からベランダに出しているため、グッと背丈が伸びて葉数も増えたウンベラータです。
このままでは秋になってしまうので、ここらで挿し木に再挑戦することに。今回は脇から出ている枝を使います。
清潔なハサミで枝をカット。
このままでは葉数が多すぎて蒸散により枯死してしまいそう。なので、葉数を減らしておきます。
一番新しい葉を一枚だけ残し、残りの葉はカットしました。白い樹液に触れないように気を付けます。
前回はいきなり土に差しましたが失敗したため、今回は水差しで発根させることに。こちらの方が確実性が高いです。
水は1週間に1回程度替え、直射日光を避けた明るい場所に置いて発根を待ちます。
まとめ
今回は、ウンベラータの挿し木の方法をくわしくご紹介しました。
ウンベラータはコツさえつかめば、簡単に挿し木で増やすことができます。
ご自宅ですでにウンベラータを育てている場合、剪定ついでに挿し木でもう一鉢増やしてみてはいかがでしょうか?
ウンベラータの挿し木【手順】
- 適期は5月~6月頃
- 茎をカット(10cm程度)
- 葉数を調整(減らす)
- 水に差す
- 土を用意
- 土に挿す
- 風通しのよい場所で管理(直射日光、高温を避けた場所に置く)
ウンベラータのその他topics
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