ふんわりと柔らかい印象を与えてくれる癒しのインテリアグリーン「アジアンタム」。
アジアンタムは過度の乾燥に弱く、空気中の湿度が高い状態を好むシダ植物の仲間です。
今回は、そんなアジアンタムの冬のお手入れ方法のコツ3つを分かりやすくご紹介します。
アジアンタムは寒さに弱る?

適度な湿度と風通しが確保できていれば8度程度までは耐える
アジアンタムが耐えられる寒さは8度程度までといわれ、一般的には寒さに弱いとされています。
園芸店やホームセンターで見かけるアジアンタムの多くが、南アメリカが主な原産地のため、一年を通して暖かい環境を好みます。
自生しているアジアンタムは0度程度まで耐える
上写真は、筆者が住む近畿地方の道端に自生しているアジアンタムです。
冬はマイナス5度近くまで冷え込むこともありますが、一年中葉を茂らせています。
このことから、品種によっては0度程度までは耐えられるということが分かります。

冬は乾かし気味に管理することで、樹液濃度を高めて寒さに耐える力が発揮できる。ただし、室内の場合は空気が乾燥しやすいから葉を傷めやすいから霧吹きは必須。
アジアンタムが冬に枯れそうなときの復活方法(状況別の応急処置)

葉がチリチリのとき|空気の乾燥が原因
冬の室内は湿度30%前後まで下がることが多く、アジアンタムは一気に葉がチリチリになります。
復活のコツは「湿度アップ+葉水の頻度を増やす」こと。
対処法
- 1日3回(朝・昼・夜)たっぷり葉水をする
- 暖房の風が当たらない場所へ移動
- 加湿器 or 洗濯物の室内干しで湿度40〜50%をキープ
- 傷んだ葉は半分以上チリチリならカットしてOK(株の負担軽減)
葉が黒いとき|低温障害 or 過湿が疑われる
葉先や葉縁が黒くなってきた場合、冷え込みによるダメージ or 水のやりすぎ が原因のことがほとんど。
対処法
- 夜間は窓際から1〜2m離す(最低10℃以上)
- 土が湿っている場合は水を与えず、しっかり乾くまで待つ
- 葉の黒い部分は感染症ではないので摘んでもOK
黒い部分は元には戻らないため、株の体力を温存させることが重要です。
全体がしおれてきたとき|“乾燥しすぎ” or “低温”が原因
アジアンタムがしんなり倒れるようにしおれてきたら、株の水分バランスが崩れている状態。
対処法
- まず室温を15℃以上に戻す
- 土が乾ききっている場合 → 鉢底から流れるまでたっぷり給水
- 水を与えたあとは冷えないよう暖かい部屋に置く
- 葉全体に葉水を与え、湿度を一時的に高める
※水を与えたあと冷えると一気に弱るため、「暖かい時間帯に水やり」が鉄則です。
根腐れが疑われるときの対処|土がずっと湿っている場合
冬の根腐れは“低温+過湿”がセットで起こります。
土が常に湿っていて、茎付近が黒く柔らかい場合は根腐れのサイン。
対処法
- まず水やりを完全にストップ
- 暖かい部屋(15℃以上)で乾燥させる
- 乾かない場合は、新聞紙やキッチンペーパーで鉢底を包み、水分を吸わせる
- ひどい場合 → 春(3〜5月)に植え替えて傷んだ根を整理
冬の植え替えはNGなので、応急処置にとどめ、本格復活は春に 行うのが安全です。
アジアンタムを寒さから守る!冬に押さえておくべき3つのポイント

たった3つのコツをつかんで、アジアンタムが苦手な冬場を乗り越えましょう。
①10度以下の寒さに当てない
アジアンタムの原産地は熱帯地方です。生育に適した温度は15度~30度程度まで。つまり、日本の冬場はアジアンタムにとって高い壁となります。
最低でも10度以上を保つことがアジアンタムを冬越しさせるコツです。10度を下回ると徐々に弱って枯れてしまいます。
室内であっても窓際の冷え込みには要注意
「室内に置いているし大丈夫!」と思っていても意外と冷え込むのが朝晩の窓際です。
アジアンタムを窓際に置いている場合、夜間の冷え込みによるダメージを防ぐためにも夜になったら窓から1m~2mは離してあげましょう。
また、集合住宅に比べて戸建ては暖房を消した後の夜間に冷え込みやすいです。温度計を置いて、できるだけ10度以下にならないよう気を付けましょう。
あわせて読みたい「アジアンタムが枯れる原因とは?育て方のポイント3つも」
②エアコンの風を直接当てない
冬場は暖房を効かせるため窓を閉め切ることが多くなります。ここで気を付けたいのがエアコンの風がアジアンタムに直接当たらないようにすることです。
アジアンタムの葉は薄く乾燥で傷みやすいです。また、窓を閉め切ることで風通しが悪くなり蒸れによって根腐れを起こす可能性もあります。

窓を閉め切る時期は扇風機やサーキュレーターを活用し、室内の空気を意識的に動かすことで根腐れを防ぎ、人にとっても過ごしやすい環境に整えることができます。
あわせて読みたい「サーキュレーターと扇風機の違い【植物に適しているのは?】」
③こまめな葉水(はみず)でチリチリを防ぐ
アジアンタムは空気中の乾燥が進むと葉がチリチリとしおれやすいです。アジアンタムが好む湿度は70%以上。しかし、湿度70%以上だと人が快適に過ごせませんね。
そこで必要となるのが「葉水(はみず)」です。葉水は霧吹きで株全体に水を吹きかけるお手入れのことです。

水やりは土の表面が乾いて2日ほどしてから与えましょう。アジアンタムは乾燥によって葉が傷みやすいため、空気中の過度の乾燥に気を付けます。
あわせて読みたい「アジアンタムの葉がチリチリになる理由とは?」
アジアンタムが冬にやってはいけないこと5つ

1.10℃以下の場所に置きっぱなし
耐寒温度を下回ると一気に弱ります。夜だけでも必ず移動。
2.エアコンの風が直接当たる場所に置く
乾燥と冷暖房の風で葉が即チリチリに。風避けは必須。
3.こまめに水を与えすぎる
冬は根が水を吸えないため過湿=根腐れの原因。「乾いて3日後」の水やりが基本。
4.窓際に置きっぱなし(特に夜間)
朝晩の窓際は5℃〜8℃になることも。カーテン越しでもNG。
5.冬に植え替えや株分けをする
ダメージが回復できず枯れるリスク大。
※根腐れ時などの例外はあり。
アジアンタムの冬の水やり方法

アジアンタムは、暖かい時期と冬とで水やりのタイミングが異なります。
春~秋の暖かい時期は土の表面が乾いたタイミングで水遣り
暖かい時期はアジアンタムの生育も盛んです。
根が水分を吸い上げる力も強いため、土の表面が乾いたタイミングで鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水を与えましょう。
冬は土の表面が乾いてさらに3日ほど経ってから水遣り

冬のアジアンタムは寒さで生育が緩慢になっています。
そのため、根が水分を吸い上げる力も弱まります。冬の水やりは土の表面が乾いて、さらに3日ほど経ってから行いましょう。

冬の室内は空気が乾燥しやすい。葉の裏面を中心に霧吹きしてね。根や葉に負担をかけないためにも、冬の水やりは午前中の暖かい時間帯に済ませよう。
アジアンタムの冬越しに関するよくある質問
Q1. アジアンタムは何度まで耐えられますか?
一般的な園芸品種は 8℃が安全ライン。ただし乾燥気味に管理していれば 0℃前後に耐える個体も存在します。
Q2. 冬に葉がチリチリになる原因は?
最大の原因は 空気の乾燥(湿度不足)。暖房の風や窓際の冷気でも葉が傷みます。こまめな葉水が必須。
Q3. 葉がすべて落ちてしまった…復活できますか?
根が生きていれば 春に新芽が出ることが多い です。温度10℃以上・乾かし気味で管理しながら待ちましょう。
Q4. 冬の水やり頻度はどれくらい?
土の表面が乾いてから3日後 が目安。午前中の暖かい時間帯に控えめに与えてください。
Q5. 加湿器は使ったほうがいい?
使ってOK。ただし 直接葉に風が当たらない位置で。メインの保湿は葉水のほうが安全です。
Q6. 冬でも日光は必要?
必要です。午前中の柔らかい光が最適。遮光カーテン越しでも◎。ただし夜間は窓から離すこと。
Q7. エアコンの下に置いても大丈夫?
NG。暖房の風で 一気にチリチリ化&乾燥ストレスが起きます。風の通り道から必ず外しましょう。
Q8. 冬に植え替えをしてもいい?
基本 NG。根が休眠状態のためダメージが大きいです。植え替えは5〜9月の暖かい時期に。
Q9. 葉水は毎日したほうがいい?
冬は 1日2〜3回が理想。特にエアコン使用時は頻度を増やしてください。
Q10. 根腐れか判断できるポイントは?
土がずっと湿っている・株元が黒い・嫌な臭いがする場合は根腐れの可能性大。土を乾かし、風通しを良くして経過観察を。
まとめ

今回は、アジアンタムを冬越しさせるコツ3つをくわしくご紹介しました。
特に空気中の乾燥が気になるのが秋から冬にかけての時期です。加湿器を活用するのもよいでしょう。
ただ、あくまでメインの保湿は葉水でおこなうのがおすすめです。
朝起きて1回、昼もできれば1回、夜寝る前に1回と習慣化するのがベストでしょう。
アジアンタム 冬のお手入れのコツ3つ
1.寒さを避ける(10度以下)
2.暖房の風が直接当たらないように注意
3.こまめな葉水でチリチリを防ぐ


