艶やかな葉と個性的な形の白い花がエキゾチックなスパティフィラム。開花期間も5月~10月と長く、葉だけでなく花も楽しめるのが人気の秘密です。
耐陰性も強く室内でも育てやすいスパティフィラムですが、枯れてしまう原因とは一体何なのでしょうか?
今回は、スパティフィラムが枯れる主な原因と対処法を徹底解説します。
スパティフィラムが枯れる原因と対処法を徹底解説!
まずはじめに、スパティフィラムは観葉植物の中でも珍しく、比較的に水を好む植物です。そのため、ゴムの木やサンスベリアなどと同じように水やりしていると葉がしおれてくるはずですよ。
それでは、スパティフィラムが枯れる主な原因と対処法を見ていきましょう。
スパティフィラムが枯れる主な原因①10度以下の寒さ
スパティフィラムは寒さに強くありません。元々が熱帯地方の植物のため、耐えられる温度は5度程度までです。
とはいえ、それは枯れないための最低温度といえます。スパティフィラムの美しい姿を保つためには、最低でも10度は必要です。
夜になったら窓から1~2m離して冷気を防ぐ!
室内であっても気を付けなければならないのが冬場の窓際です。昼間は暖かくても、夜間は急激に冷え込むことの多い窓際。
夜になったら窓から1~2mほど離してあげます。できればお部屋の中心部に移動させ、朝になったら窓際へ戻してあげるのが理想的です。
特に戸建ての場合、暖房を消した後の夜間は想像以上に冷え込むことも多いため、室内であっても油断は禁物ですね。

夜間の水やりもできるだけ控えよう。鉢内の水分が朝晩のうちに冷え込んで、根を冷やし株を弱らせてしまう恐れがあるからだよ。
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スパティフィラムが枯れる主な原因②過度の乾燥
スパティフィラムは他の多くの観葉植物に比べて水を好む植物です。気温が15度以上になる生育期は土の表面が乾いてきたタイミングでたっぷりと水を与えましょう。
上写真のように垂れるのは水が足りていないというサインです。すぐに水を与えれば葉がシャキッと元に戻るはずですよ。
ただ、乾燥状態が長く続くと葉が黄色っぽく変色してきたり、葉が枯れて株自体を弱らせたりする原因にもなります。
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気温が15度以下になったら水やりを控え目にシフトしよう
スパティフィラムの生育適温は20度~25度程度の暖かい環境です。そのため、気温が15度以下になる秋から冬場はスパティフィラムの生長がほぼ止まる時期になります。
そのため、暖かい時期と同じ感覚で水やりしていると根腐れを起こす原因になります。もし、水やりのタイミングが分からなければ、「葉が垂れたらすぐ水やり」でも構いません。
または、家庭用水分計を活用するのもおすすめですよ。(下写真)

土に挿しておくだけで土の乾き具合を測定して、水やりのタイミングを色で教えてくれる便利アイテムだよ。「これだけは枯らしたくない」という植物に使うのもおすすめ!
スパティフィラムが枯れる主な原因③水のやり過ぎによる根腐れ
スパティフィラムは比較的に水を好みます。とはいえ、水のやり過ぎは根腐れを招き、株を枯らす原因になります。

水を好むけどやり過ぎはよくないって、一体どうしたらいいの?
そこで、ここからは時期別で具体的な水やり方法をご紹介します。
- 最低気温が安定して15度以上…土の表面が乾いてきたらたっぷりと水やり。水やり後はしっかりと水気を切って受け皿の汚れた水もこまめに捨てる。風通しのよい半日陰で管理。根詰まり・株詰まりしていない場合、ハイポネックス等の液体肥料を水に薄めて月に1~2回水やりとして与えるのもよい。葉水(はみず)を与えるのもよい。
- 最低気温が15度以下…土の表面が乾いて1~2日ほどしてから水やり。暖かい時期よりも水やりの間隔を少しずつ空けることで樹液濃度を高め耐寒性をつける。タイミングが分からない場合は葉が垂れたタイミングでの水やりでもok。空気中の湿度が低下しやすいため1日数回の葉水を行う。
※2年以上植え替えや株分けをしていない場合、根詰まりを起こしていることが多いため、まずは植え替えや株分けで根の詰まりを解消する。根詰まりした状態で水を与えると根がスムーズに水分を吸収できずにそのまま傷んで腐る恐れがあるため。
▲葉水
大株に見えても実は小さな株の集合体となり株が詰まりすぎていることも多い
▲大きく育ったスパティフィラムですが…
上写真は一年前に植え替えをしたスパティフィラムです。ただ、株分けは2年以上していません。
去年植え替えをしたばかりなので、鉢底から根がはみ出ている様子もありませんでした。
▲株の内部を見ると親株のまわりに子株がびっしり!
しかし、鉢から株を取り出して株の内部を見たところ、親株のまわりにびっしりと子株が付いて根が絡み合っている状態でした。
そのため、株元がぎゅうぎゅうに詰まって花芽はもちろん、新しい葉も小さく形の歪んだものばかり出るようになっていたのです。
▲大株に見えていたが実は小さな株の集合体と化していた
このように、スパティフィラムは親株の周りに子株を増やしながら生長していく植物です。
根詰まりした状態を放置し続けると、生育がスムーズに進まないだけでなく、鉢内の水はけが悪くなることで根腐れを招き枯らせてしまう事態にもなりかねません。
▲株分け後のスパティフィラム

スパティフィラムを2年以上株分けしていない場合、春から秋にかけての暖かい時期に株の詰まりを解消してあげると生育がスムーズに進むことが多いんだね。
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スパティフィラムが枯れる主な原因④直射日光による葉焼け
スパティフィラムは直射日光をあまり好みません。特に気を付けたいのが夏場の高温期です。
暑い時期は直射日光により葉の一部が焼け焦げる「葉焼け」を起こしやすいからです。
スパティフィラムと同じくサトイモ科の観葉植物(ポトスやモンステラなど)は、「直射日光が苦手」という共通点があるのですね。
▲葉焼けしたポトスの葉は茶色く変色しています
葉焼けした箇所は元に戻せない…
残念ながら、すでに葉焼けを起こした葉や花を元に戻すことはできません。
また、葉焼けした部位は光合成ができなくなるため、葉焼け面積が広がると株自体をも枯らす原因にもなりかねないのです。
▲葉焼けと乾燥と暑さで弱ったサトイモ科のシンゴニウム
そのため、「葉の色が薄くなった」「葉の一部が茶色くなった」などという葉焼けの症状に気付いたらできるだけ早く場所を移動させるか、遮光ネットを利用する必要があります。
▲場所を移動し栽培方法を変更して復活したシンゴニウム

異変に気付いたら早目に対処することで、被害を最小限に抑えられるんだね。
スパティフィラムが枯れる主な原因⑤病害虫
夏から秋のあいだに「ハダニ」「カイガラムシ」「アブラムシ」などの害虫が付くことがあります。
これらの害虫がスパティフィラムに付くと、吸汁により株を弱らされてしまいます。葉が変色していたり、なんとなく全体の色つやが悪い場合は小さな虫が付いていないかも確認しましょう。
そのままにしておくと被害がどんどん拡大し、そのまま枯らされてしまうこともあります。
葉がベタベタする場合、カイガラムシが付いていることがよくある
▲モンステラに付いたカイガラムシ
特にカイガラムシは種類が非常に多く、上写真のような茶色の粒々に見えるものもあれば、下写真のように白い粉状の形態をしているものもあります。
葉がベタベタとする場合、カイガラムシの排泄物の可能性があります。樹液を摂取するカイガラムシは糖分を含む排泄物を出すためベトつくのです。葉の付け根や裏、茎などをくまなくチェックしましょう。
早目の駆除が被害を最小限に抑えるコツです。

葉がベタベタとしていたら、まず「カイガラムシ」を疑おう。カイガラムシやハダニは、葉の表面だけでなく葉の裏や付け根・茎などにも潜んでいることが多いよ。
まとめ
今回は、スパティフィラムが枯れる主な原因と対処法をくわしくご紹介しました。
スパティフィラムが弱っている場合、まずは寒さに当たっていなかったか確認してみましょう。室内の場合でも油断は禁物。暖房を消した朝晩に冷え込んでいることが多いからです。特に窓際ですね。
次に土の状態を確認し、カラカラに乾いているなら水を与えて様子をみます。土が湿っているのに元気がない場合は根腐れが疑われるため、その場合は水やりを控えて風通しのよい場所に置きましょう。
また、うっかり夏場の西日に当たってしまわないよう気を付けてください。スパティフィラムを含むポトスやモンステラなどサトイモ科の観葉植物はとにかく「強すぎる光」で葉焼けを起こしやすいからです。
上写真のように、葉の色が抜けたように薄くなるのも葉焼けの初期症状です。
スパティフィラムが枯れる主な原因と対処法
- 10度以下の寒さ
- 過度の乾燥
- 根腐れ
- 直射日光による葉焼け
- 病害虫
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